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サスペンデッズ 次回公演
第18回公演『umami』2017年3月18日(土)〜26日(日)@SPACE梟門
http://www.suspendeds.net/
サスペンデッズ 前回公演
本公演は終了致しました。
沢山のお客様にご来場いただき、誠にありがとうございました。--------------
第17回公演『おせん』 2015年10月30日(金)〜11月1日(日)@シアター711
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PROFILE
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2013.09.15 Sunday 07:20
夏の思い出〜蝉地蔵〜
それで店を出て立ち尽くした。この傷ついたハートを抱えどこに行こうか。ドドールめ。読みたかった本はまだ一ページも読めていない。だがドトールが二軒目だったので、もうコーヒーも飲み飽きたし他の喫茶店に行く気もしない。家に帰るのもなんだか。陽が傾いてきた。う〜ん、公園でも行くか。僕の家のそばにはすごく大きい公園があって、ちょっと涼しい日なんかは木陰で本を読んだりする。いつもは新聞紙を持って行ってそれに腰かけるのだが今日は持ってなかったので100円ショップで小さいブルーシートを買った。いざ公園へ。ちょっと蚊に刺されるのが難点なのだが、とても良いところなのだ。休日でも人がまばらで、なんでこんな良いとこなのにみんな利用しないのかと訪れる度、不思議に思う。僕は大きな木の下にブルーシートを敷いて腰かけた。陽が傾いたせいで心地よい風が吹いている。鳥の声。うん、来て良かった。僕の傷ついたハートも癒されるようだ。いや傷ついたのは僕ではない。あの新人さんの方ではないか。第一あのクーポン券がケーキセットには併用出来ないなんてことは端からわかっていたことじゃなかったのか。それを僕はカウンターが新人さんだったことをいいことに、あわよくばMサイズのコーヒーを掠め取ろうとしたのではなかったか。そんな心理が無意識にでも働いたのではなかったか。なんてせこいんだ僕は。あの新人さんの怯えたような目は大人の信じがたいせこさに触れたときのリアクションだったようにも思う。あしたもう一度ドトールに行こう。そしてもし彼女がいたら謝意を込めて微笑みかけよう。きっと彼女はキョトンとするだろう。気持ち悪いこの人と思うかも知れない。それでも構うもんか。などと思いを巡らしながら、僕は本を開いた。すっかり気分は晴れていた。
どの位たったのだろうか。気付くと僕は本を顔に乗せ大の字になって寝てしまっていた。腕やら足やら蚊に刺されて痒い。もう陽は落ちて辺りも暗くなり始めていた。蚊に刺された足を掻こうとした時だ。脛のあたりになにやらグロテスクな虫がしっかりしがみついている。ひぃっと一声、僕は反射神経でそれを払い落とした。ブルーシートに転がるそれ。しかしあまり見たことない姿の虫だ。いや、どこかで見たような。あ!蝉だ。蝉の抜け殻の中身の詰まったやつ。初めて見たぞ。今まさに何年かぶりに地上に出て来て、僕の脛を木と間違えて上って来たのだ。払い落とされた蝉は我関せず、本能なのかまた木を探して歩き出した。しかし蝉の行く 手には木はない。そっちにはカラスが帰って来て地上に舞い降り群れている。このまま歩いて行ったら奴らにパクッとされて終わってしまうではないか。蝉よ、何だったんだお前の人生は。僕は俄かに責任を感じ、蝉を近くの木に戻してあげた。またまたわれ関せずと木を上っていく蝉。サマになっている。こうこなくちゃ。もう辺りに人影はない。僕は蝉の本来のあるべき姿を見て満足し、彼が無事人生を全うすることを願い、帰り支度をはじめた。結局本は全然読めていないし、台本の構想も進まない。 家に帰ってもうひと踏ん張りしたが、やっぱり台本の作業は進まなかった。布団に入るとあの蝉のことを思い出した。夏の終わりごろ、あの蝉が僕のところへやって来てくれないだろうか。夜更けにアパートのドアをノックする音がする。出て見ると誰もいないが、かすかに蝉の羽音。足元に米やら餅やら酒やらビタミン剤やらユンケルが置いてある。その中に巻物が添えてあって、広げると素敵な台本のアイデアやら演出のヒントが書いてあるのだ。ありがとう蝉!助かった!そんなことが起きないかなぁと思いながら僕は眠りについた。 夢の中で蝉から、せこいよ、それで僕を助けたのかいと責められた。 2013.09.15 Sunday 03:01
2013年09月14日のつぶやき
18:30
夏の思い出〜クレーマー〜 http://t.co/PSk0jJLWXc #jugem_blog
2013.09.14 Saturday 16:26
夏の思い出〜クレーマー〜
まだ暑いけど夏は往った。夏、何をしてたのかと言うと大体喫茶店にいた。暑かったからだ。それに喫茶店は大好きなのである。純喫茶やカフェも好きだけど大手チェーンのコーヒーショップも好きだ。ずっと居たい。でもそうそう長居は出来ないので、一定の時間が経つと喫茶店を梯子することになる。うちの近くにドトールがあり、一番のお気に入りなので、ほぼ毎日行く。はじめにドトール、もしくはシメにドトールって感じで。毎日行くので従業員の人たちの顔も覚えている。僕が覚えてるってことは向こうも覚えてるんだろうか。だとしても常連然とした会話などない。そこがドトールの良いところだ。僕はそういうのは恥ずかしくて出来ない質なのだ。
その日は新顔さんがカウンターにいた。女子大生のアルバイトだろうか。研修中のようだ。僕はいつもはMサイズのコーヒー250円を注文するのだが、その時はたまたまキャンペーンで手に入れた、SサイズのコーヒーがMサイズになるというクーポンを持っていた。注文の列に並んでる間に、ショウケースのケーキが目に入って食べたくなり、ケーキセットを注文することにした。ラズベリーケーキとSサイズのコーヒーのセット。それぞれ単品で買うとコーヒーSが200円、ケーキが350円で550円のところセットだと500円になるのだ。で、注文の時、僕は試しにクーポンを見せこれでSをMに出来ますか?と尋ねてみた。するとその新人さんが、大丈夫ですよ、と言うので僕はいそいそ1000円札を渡した。そしたら、お釣り450円ですと返して来たのだ。ん、500円ではないの?と言うと、新人さんはあたふたとしている。言ってることが呑み込めないようだ。どうしたの?とベテランさんがやって来て、新人さんがベテランさんに事情を説明している。僕はセットにはクーポンは使えないのだなと思ったので、もういいですと言った。その言葉がどのように響いたのか、ベテランさんがもっとベテランさんを呼んでいる。新人さんはちょっと怒られている風情。ふと後ろを見ると結構な列が出来ていて、みんなちょっとイライラしている。僕は気付いた、僕は今クレーマーになっているのだ。すぐ後ろの大学生のあんちゃんが、おい、いいおっさんがケーキセット頼んで50円でガタガタ言ってんじゃなーよって目で僕を見ている。いや、僕は試しにクーポンが使えるか聞いてみただけなのだ。使えないならそれでいいのだ、僕はこれでも色々わきまえた大人なのだ。そしてわかって欲しい、何より僕はこのドトールが好きなのだ。従業員に迷惑なんてかけたくないのだ。そう心で叫んでいると、お客様申し訳ありませんがクーポンはケーキセットには使えませんと丁重に。うん、そうだろう、セットは既にあんなに安いんだ、聞いた僕が非常識でした、すいません。 僕は商品を受け取り、席を探した。しかしさっきまで奥の席が空いていたのに、僕がクレーマーと化している間に埋まってしまい、カウンターの真ん前の席しか残っていない。僕は仕方なくそこに腰をおろした。普段ならどこだって構わないのだが、クレーマーと化してしまった今、クレームをつけたかたちの新人さんが目の前にいるのはとても落ち着かない。従業員の方々が奥の方でヒソヒソ話している。被害妄想。見て、デブのクレーマーがケーキを食べてるわ、ふふ。僕はいたたまれず目を伏せてケーキを食べ、急いでコーヒーを飲み干し、お盆を返し、ちょっだけ笑顔をつくって、ごちそうさまを言い、店を出た。 つづく |
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